投資A.Iが発展し続ければ、株式市場は硬直するのではないか?

最近になってA.Iを使った株の取り引きが目立つようになりました。大手企業による開発競争のニュースが報じられたり、ロボアドバイザーとして個人投資家も利用できるようになったり……

今回はA.I取引の発展による株式市場の未来について書いてみます。

「超高速取引」(High frequency trading=HFT)などによって市場を乱高下させていると指摘されるA.I。しかし、長期的に見ればむしろ逆なのでは?

そもそもの株式市場のメカニズム

A.Iのことを考える前に、まず株式市場の基本的な部分を確認します。

多くの人々が株の取引をしているのは利益を出すため。しかし、逆に損する人も多いですよね。

この原因は株価の上下にあります。安い時に買って高く売れた人が得をし、高く買って安く売ることになった人は損する。これが基本パターンでしょう。

株の適正価格を決めるのは非常に難しいし、それができればみんな苦労しないわけですが、話を分かりやすくするために適正価格が1000円の株があったとします。PER(株価収益率)・
PBR(株価純資産倍率)などから決めたとしてください。

しかし、この会社と株に対する見方は人によって違い「すぐに1500円まで上がるはずだ!」「いやいや500円分の価値しかないね」といった判断の差が生まれてきます。これが価格が上下する要因。

そして、この500円~1500円までの1000円分の価格差が利益と損失の元になるわけです。500円の時に買って1500円で売ったら1000円の利益、逆に1500円で買って500円で売ったら1000円の損。

そして、価格差が大きい株は利益も損失も多く、価格差が小さい株は両方とも小さくなります。ヨコヨコの状態だと儲けは出しにくいもの。究極的に言えば価格変動0円の株を売買しても利益も損も無い。

株価が上下して売買が行われる仕組みは、需要と供給。買いたい人が多ければ値段が上昇し、売りたい人が多ければ値段は下がります。

A.Iは人間よりも、株価を正確に判断するはず

なぜ同じ株に対して判断の差が生まれてくるのか? また、短期間の間に価格が大きく変化するのはなぜか?

長期的に株価が変化するのは会社の業績に合わせたもので理解しやすい。しかし、実際には1日の間にも株価は常に変化している。そんなに細かく会社の業績情報が出てくるはずもなし(笑) これはどういうことか?

これらは人間の判断ミスでしょう。多くの人は、その場の気分・カン・なんとなく・今までの個人的な経験、などのあいまいな考えだけで株価を判断し売買を実行している状況。だからこそ株価がブレて変動する。特に個人投資家はそうだと思います。

適正価格が1000円の株に対して、「1500円の価値がある!」「いや500円の価値しかない」と思うのは判断ミスだと言える。そして、その判断ミスによって500~1500円の変動が起きる。

さて、ここでようやくA.Iが出てきます。A.Iは人間よりも正確に株価を判断できる。長期でも短期でも。そのために開発されているわけだから当然の話ですが。

特に私が注目したいのは個別の株。為替とか日経平均ではなく、それぞれの企業の株。決算資料・過去の統計データを分析して計算式を使い株価をより適正に判断する。そして、未来の上下も予測する。それがA.I。

もちろん正確な価格を判断することは難しく、A.Iを多く集めてみれば1000円の株に対して「1100までは上がるだろう」「900円まで下がる」などの判断の差は出てくるでしょう。しかし、その幅は人間よりも少ないと考えられます。

正確な判断→価格変動の減少→市場の硬直

より適正に価格を判断できるA.Iたちが株を取引するとどうなるか。高く買いすぎたり、低く売りすぎることがなくなり株価が安定すると予想されます。天井が下がり底が上がる。

A.Iの精度が上がっていけば、さらに価格変動は小さくなるでしょう。

しかし、思い出してほしいのですが価格差こそが利益の元。株価の上下が小さくなると利益が出しにくくなるのです。

どんどんA.Iの精度が上がっていき、どんどん株価が適切に評価されるようになり、価格の変動幅が小さくなり、利益が出しにくくなる。

変動幅0円に近づいていくにつれ、取引はしにくくなり市場は硬直化すると考えられる。新規参入のうまみも減っていきますし。

人間によるランダムな変動は減少していく

まぁ、ここまでの話はかなり理想論っぽいところもあります。なぜなら今のA.Iが分析・学習している市場と過去のデータは人間同士の取引だから。

ランダムな市場に対応するためにA.Iたちの予想の幅も広く、株価の変動も大きいままの可能性はある。

しかし、これから人間同士の取引が減り、A.IとA.Iによる取引が増えていったなら、やはり株価の変動は減っていくと思われます。

A.Iはその場の気分・カン・なんとなくでは判断しましせんし、誤発注もない。A.Iの取引にはランダム性が少ない。

2010年5月にアメリカで起きた「フラッシュ・クラッシュ」、いくつかの銘柄が約1000ドル下落し、すぐに元の水準まで戻った事件。

これは誤発注に取引プログラムが高速反応したため影響が広がったことが原因とも言われています。しかしA.I同士の取引には誤発注は起こらないわけで。

つまりA.Iが増えていくにつれ市場のランダム性は減っていく。そして、その今までランダム性が少ない市場を学習した新世代A.Iが登場し、ますますランダム性が少なくなる。

今後A.Iの運用成績が向上するなら、株式市場から人間による取引がなくなる日が来るかもしれません。そして、それは同時に株価の変動が今よりはかなり少ない硬直した市場だと考えられます。

まぁ、株が適正価格で固定されるのは悪いことじゃありません。むしろ人間同士の判断ミスによって業績に関する情報もないのに短期で変動し続けている方がおかしいとも言えるかも。

なんにせよ、未来の社会はA.Iの発展によって現在と大きく変わっていることは間違いなし。A.Iによって株式市場も今と同じような取引は成り立たなくなっているでしょう。

まとめ

・株価の変動が利益(と損失)の原因

・人間は株の価格について大量の判断ミスをしており、それが変動の理由

・A.Iは人間よりも正確に株価を判断できる。

・A.Iの精度が上がっていくと、どんどん株価が適切に評価されるようになり、価格の変動幅が小さくなり、利益が出しにくくなる。変動幅0円に近づいていくにつれ、取引はしにくくなり市場は硬直化すると考えられる。

 

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