比喩表現の注意点と面白さ!

上手い比喩表現は、受け手の想像力を刺激して作品を面白くしてくれますよね~。ただし、注意点もあったりしますが!

というわけで、今回のテーマは「比喩表現」。基本的には、たとえのことですね。彼女は天使のようだ・山のように大きい、とか。

難しい話を身近な物で表現することで話を理解しやすくしたり、あえて直接的に表現しないことで想像力を刺激する効果があると言えるでしょう。

 

比喩とは

大ざっぱに言うと、比喩には2種類があります。

直喩

比喩表現であることを、はっきりと示す表現方法。「~のようだ」「~ように」「~ごとく」などの単語が付きます。英語だとsimile

例:彼女は天使のようだ、

暗喩(隠喩、メタファーなどとも言う)

比喩表現であることを、明確にしない表現方法。より想像力を強く刺激しますが、意味がはっきりしないことも増えます。説明に使う場合は注意が必要でしょう。英語だとmetaphor

例:彼女は天使だ

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どちらも上手く使えば普通の言い方よりも分かりやすく魅力的な文章を作ることができます。「風林火山」などは良い例ではないでしょうか。

これは戦争についての言葉で、「(軍隊が)移動するときは風のように速く、陣容は林のように静かに敵方の近くでも見破られにくく、攻撃するのは火のように勢いに乗じて、敵方の奇策陽動戦術に惑わされず陣形を崩さないのは山のように」というような直喩表現。

単純に「軍隊は速く動き、静かで、攻撃する時は勢いよく、守るときは陣形を崩すさないように」なんて言われるよりも魅力的で頭に入ってきやすいのでは?

また、ことわざにも比喩表現は多く使われています。「猿も木から落ちる」とかがそう。これは「猿も木から落ちる(ように、上手い人も失敗することがある)」みたいな意味。比喩を使うことで、面白く受け入れやすい言葉になっています。

比喩表現は日本語だけでなく世界中にあります。英語には「As brave as a lion」(ライオンのように勇気のある)なんて表現が。あるものを説明するのに他のものを使う・比喩を使うことで魅力的な言葉を作ろうとする、こういった考えは人類共通だってことですね!

注意点

ただし、比喩表現には注意するべきポイントもあります。

書き手と受け手のイメージが違うと、意味が伝わらない

日本で「太陽のような人だ」と言えば、「暖かくて優しい」みたいな印象だと思います。しかし、中東の砂漠地域の人は「厳しくて優しくない」的な印象になるとのこと。意味が反対ですねぇ。

これは砂漠の多い中東の人にとっては太陽が熱と乾燥を生み出す危険な存在だから。このように、物事の対するイメージが違うと比喩表現は書き手の思った通りには伝わりません。

他にも、海を見たことの無い内陸の人に「海のように広く深い愛情」とか言っても理解されにくいでしょう。

無駄に使うと話が分かりにくくなる

「昔はアメリカとソ連が対立していた。アメリカは百獣の王ライオンのようなもので、ソ連は狼みたいなものか。さらに、そこに中国が割って入ってきた。中国はクマかな? ライオンとオオカミとクマのなわばり争いだったんだ。」

こんな風に、無駄に比喩表現を使うと話が分かりにくくなるので注意が必要(笑)「ライオンとオオカミとクマのなわばり争い」なんて言われても、けっきょく何がどんな状況だったのか全く分かりませんよね。

↑の2つの注意点のように、比喩表現は上手く使わないと意味が伝わりにくいもの。下手な比喩なら使わない方がマシでしょう。

あえて分かりにくくする比喩と、「言葉」の魅力

比喩表現は多くの小説・詩・その他の文学作品の中にも使われています。面白い比喩表現は想像力を刺激し作品を魅力的にしてくれますよね。

例えば、村上春樹の作品から引用してみると

『そしてかすかな微笑を口もとに浮かべた。風のない日に静かに立ちのぼる小さな煙のような微笑みだった。』 出典「国境の南、太陽の西」

『風のない日に静かに立ちのぼる小さな煙のような微笑み』、どんな微笑みなんでしょうか……なんとなく雰囲気だけは感じられますが、具体的にはイメージしにくい気もします。

だけど、そこが良いんでしょう。あえて明確にはイメージしにくい、ぼんやりとした文章にすることで読者の想像力を刺激する。

イメージしやすくするための比喩ではなく、むしろイメージしにくくするための比喩表現だと言えるかも。

もう少し引用すると

『でもそれに比べると僕の部屋は死体安置所のように清潔だった。』 出典「ノルウェイの森」

『私、あなたのしゃべり方すごく好きよ。きれいに壁土を塗ってるみたいで。』 出典「ノルウェイの森」

こういった表現って、絵にするのが難しい。『風のない日に静かに立ちのぼる小さな煙のような微笑み』『僕の部屋は死体安置所のように清潔だった。』……こんなもの、漫画・アニメでは描けませんよ(笑) どんな絵を描けばいいのやら?

あいまいすぎて絵では表現できない、「言葉ならではの魅力」では。絵には絵の魅力がありますが、言葉には言葉だからこその魅力がある。

分かりやすくするための比喩、あえて分かりにくくして想像力を刺激するための比喩。言葉って面白いものですね!

まとめ

・大ざっぱに言うと、比喩には2種類がある。

・①直喩。比喩表現であることを、はっきりと示す表現方法。

・②暗喩(隠喩、メタファーなどとも)。比喩表現であることを、明確にしない表現方法。

・上手く使えば普通の言い方よりも分かりやすく魅力的な文章を作ることができる。

・比喩の注意点。書き手と受け手のイメージが違うと、意味が伝わらない。無駄に使うと、話が分かりにくくなる。

・文学作品の中には、あえてイメージしにくくするための比喩表現、ってのもあるのでは? 言葉って面白い!

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だらしある、後ろ明るい、申し訳ございます ~言葉をひっくり返してみた~
くだらない、くだる? 逆のパターンがない言葉って、意外とある。