白神山地から見る、人間と自然の関係

まさに自然のままの場所! いいですよね~。けれど、自然保護に関連する人間の話も面白いかも?

というわけで、今回のテーマは「白神山地」。青森県の南西部から秋田県の北西部にかけて広がる山岳地帯で、人の影響が少ない自然のままの橅(ブナ)の森が有名。

日本で最初の世界遺産の1つであり、1993年に世界自然遺産に登録されています。

手つかずの森林!

この記事の画像は、全てウィキペディアより

きれいな場所ですね~。手つかずの自然ってのは素晴らしい! それに、大きな森ってのは癒される空間でしょう! 森の中の空気・匂いも独特で良い感じ、鳥や虫の鳴き声も聴き入ってしまいます。

都会に暮らし人間ばっかり見ていると、大自然ってのはある意味で異世界では? 地元の人たちにとっては古くからの生活の場でしょうが、外部の人間には素敵な非日常が味わせる観光地。

特徴としては、やはりブナの原生林が残っている点。ブナの大きな原生林が残っているのは世界的にも珍しく世界自然遺産に登録された理由でもあります。

なぜ、この豊かな森林が残ったのか!? 実は、このブナというのは利用法が非常に少ない木だったんですね。腐りやすく曲がりやすい性質で、木材としては非常に使いにくい。

だから、「守り伝えられてきた」よりも「放置されてきた」と言った方が正確かもしれません。まぁ人間ってのは使いやすい自然はどんどん利用してしまうもの。人の手が入っていないのには理由があるってことで。

有名な観光名所としては暗門滝、森林の中でも特に大きい「マザーツリー」などなど。

↓暗門滝

↓マザーツリー

多くの動物も生息していまして、代表的なのはクマゲラ・イヌワシ・ヤマネ・カモシカ・ツキノワグマなどでしょうか。

↓クマゲラ(天然記念物)

白神山地の歴史と、自然保護

調査によって、約8000年以上前からブナ林が形成されていたとが分かっています。すごく古い! と言えば古いけど、森の話なので意外とスケールが小さいかも?(オーストラリアのグレート・バリア・リーフとか、今の姿になるのに2000万年かかっているそうですし)

白神山地が日本の記録に初めて現れるのは、1783年から1829年にかけて書かれた博物学者・菅江真澄の日記『菅江真澄遊覧記』という書物。江戸時代になってからなんですねぇ。

ここからは自然保護について。1970年代になると、白神山地に大規模な林道整備および伐採の計画が浮上してきます。↑で「ブナの木は利用しにくかった」と書きましたが、加工技術の進歩によって楽器などの材料として価値が出ました。

そして、この計画に対して青森・秋田の両県で地元の人が反対運動を展開。最終的には計画を中止させることに成功。さらに1993年には世界自然遺産に無事登録、自然保護の方向性は確固としたものになったと言えます。

いやー、昔から森が残ったのはブナが木材として利用しにくかったから。でも、今の白神山地が残っているのは現地の人の自然保護活動の努力の結果。自然を変えてしまうのは人間だけど、それを止められるのも人間ってことでしょうか。

さらに言えば、ブナの森林に「世界自然遺産、有名な観光地」という新たな価値と利用法ができたとも言えるでしょう。面白いものですね。

自然保護による問題も

さて、世界自然遺産にも登録され地元の全ての人が、100%の人が幸せになった! ……とも言い切れないのが人間社会の難しい所。利害関係ってのは複雑なんです。

例えば、世界自然遺産に登録されたことによって白神山地の中心部は立ち入り禁止で狩猟も認めれてません。こうなると狩りを行っていた人は困ります。

東北・北海道には「マタギ」という狩猟で生活してきた人々がいるとのこと。マタギは古くから独特の慣習がありまして、これは貴重な文化と言えますよね。

彼らはカモシカ・ウサギ・クマなどを獲物にしてきましたが、自然保護政策によって狩猟が非常に制限されています。

↓マタギと、狩られたツキノワグマ

自然保護ってのは基本的には良いことだけど、それによって生活が厳しくなる人がいたり文化が継承できなくなることも。何事も100%の人が幸せになるってのは難しいものですね……

原生自然の価値

最近では「自然の価値」というものが見直されてきています。まず、分かりやすいのは観光地でしょう。白神山地なんて世界遺産になることで有名観光地になり、大きな経済効果を生んでいる。

仮に開発して森を破壊していたら観光地としての価値は無くなっていたわけで。自然には、自然のままで大きな経済効果がある!

次に、もっと広い視点で見た場合の自然の価値についても注目され始めています。豊かな自然が災害を減らしたり農林漁業を活性化させたりするんですね。

木が減ると土砂崩れなどが起きやすくなり、道路が壊れやすくなって結局は修繕に費用が掛かる。また、森の栄養が川を通って海に流れ込み漁業にも大きな影響を与えることも分かってきました。

結局、人間社会・人間の経済活動は自然を土台にしている。土台である自然を破壊してしまうと人間の生活も上手くいきません。

さらに! 「未知の自然、自然の可能性」という部分に対しても注目が集まるように。この白神山地でも、1997年に今までになかった新しい酵母菌が発見されます。この酵母菌は寒さに強く、加えて独特の甘みを作り出す性質もありパン作りに利用されているとのこと!

「白神こだま酵母菌」と名づけられ、秋田県が特許を取得。手つかずの自然には、未知の可能性が眠っているんですね! 白神こだま酵母菌以外にも色々と有効利用できる菌類が見つかっているそう。

こういった所も、自然の価値であり自然保護の理由になると言えます。自然ってのは本当に多様な価値が合って重要なものですね~。

まとめ

・ブナの原生林が残る、日本の自然遺産

・ブナの森が残っていたのは木材として使いにくかったから

・自然保護ってのは基本的には良いことだけど、それによって生活が厳しくなる人がいたり文化が継承できなくなったりすることもある。

・自然には自然のままで多くの価値がある! 経済的にも重要!

・特に、手つかずの自然には未知の可能性が眠っている!

 

 

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