ピラミッドの形状の変化と、建設の謎

古代の建築物といっても色々とありますが、その中でも超有名でしょう! 今でも謎が多いのも魅力の1つかも?

(この記事の画像は、全てウィキペディアより)

というわけで、今回のテーマは「ピラミッド」。英語だとpyramid。四角錐の形をした巨大な石の建造物の総称で、エジプトだけでなく中南米にもあります。

語源としては、ギリシア語で三角形のパンを指すピューラミス(πυραμίς; pyramis; ピラミス、ピラムスとも)に由来するという説が最も有力とのこと

古代の巨大建築物! 謎とロマン! ミステリーとファンタジー! って感じで、有名な建築物ですね。

特に、ギザという町にあるクフ王のピラミッド・カフラー王のピラミッド・メンカウラー王のピラミッドは「3大ピラミッド」と呼ばれ人気の観光地。

「メンフィスとその墓地遺跡 – ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯」という名前で1979年に世界遺産にも登録されています。

↑3大ピラミッドおよび周辺の遺跡

ピラミッドはすごい!

さて、古代エジプトのピラミッドは巨大な石を四角錐状に積み上げ、その中に通路や部屋を作ったもの。作られたのは紀元前2500年前後ですから、今から4500年前になりますねー。現在では118個のピラミッドが見つかっているとのこと。

あの有名な形は非常に精密に作られていて、底辺の中心と頂点が一致していてズレていなかったり、4つの面がそれぞれ東西南北を正確に示していたり、単純に石を積み上げたのではなく内部に通路と部屋があったり……ピラミッドはすごいのです!

そもそも4500年以上残っていること自体が超技術!


↑クフ王のピラミッド内部。通路と部屋があるのに、バランスが崩れていない!

↑最上部に設置された石、キャップストーンと言われます。美しい~。

また、大きさも有名。世界一高いピラミッドは紀元前2560年頃にクフ王が作ったギザの大ピラミッド。使われた石は200万個以上! 底辺が各辺230m、高さは146m! ビルの一階が4mとすると、36階建てを超える! むちゃくちゃ高いですよ

また、このギザの大ピラミッドは14世紀にリンカン大聖堂という聖堂の160mの中央塔ができるまでは世界で最も高い建築物だった、と言われています。つまり、3500年以上は「世界で最も高い建築物」だった! すごすぎる話……

さらにさらに! ギザにある三つのピラミッドは、もともとは石灰岩の白い化粧板が施されたいて、今のような茶色い段々の形ではなく、より滑らかな平面の白く輝くものだった!

いやー、想像するとすごすぎます。これだけの大きさのものがキラキラ光ってたんですよ? きれいだったでしょうね~。

白い化粧板は、遺跡を保護するという概念がなかった時代に剥がされてカイロ市街地の舗装に使われてしまったとのこと……もったいない!


↑エジプトのピラミッドは他の地域にも影響を与えました。これは古代ローマ人、ガイウス・ケスティウスの墓。大理石で表面が整えられています。こんな感じでギザの大ピラミッドは、もっとなめらかで、もっと輝く建築物だった。

ともかく、ものすごい技術力とこだわり。これは芸術作品と言ってもいいのでは。少なくとも現代の私たちが見た時に、すごい! かっこいい! 美しい! と思わざるを得ません

しかし、残っているのは一部だけであり壊れしまったり砂に埋まってしまったものも多いようですね……

↑壊れてしまったピラミッド

ピラミッドの形ができるまで

何といってもピラミッドの魅力は、その形状でしょう! 巨大な四角錐! 古代の遺跡・巨大建築は世界中に色々とあるけれど、ここまでシンプルな形のものは中々無いのでは?

普通は町・神殿・城などの建物だけど、ピラミッドは巨大な四角錐。シンプルで力強く、それでいて謎めいている。この形こそがピラミッドの人気の理由では!

しかし、このピラミッドの形も最初から四角錐だったわけではない。初期のピラミッドは形が違うんですよね。ここからはピラミッドの形について見ていきますよ。

ピラミッド以前

ピラミッドが作られる以前、エジプト王朝の初期の時代には「マスタバ」と呼ばれる平たい墓が作られていました。主に日干しレンガを用いて建設され、長方形が基本。

大きなものは長さ60メートル、幅30メートル程度の規模を持つ場合もあったとのこと。内部には深い立て抗が作られ、その底に墓室が作らています。

死後の世界を重んずるエジプトの死生観を反映し、大型のマスタバにはトイレ・召使の部屋・ハレムなどが建設されることもあったとか!

階段ピラミッドの誕生

次に、マスタバをベースとして「階段ピラミッド」が誕生します。ここで始めて石を積み上げて高層建築を作るというピラミッド作られるように。ただし、階段の名前の通り、段差が大きくはっきりしていますね。

最初の階段ピラミッドにしてピラミッドの始まりは、約4600年前の「ジュゼル王のピラミッド」。底面は高さ62m・東西125m・南北109mの長方形。

後の時代に建設されたピラミッドは基本的に正方形の底面だけど、階段ピラミッドの場合は5回に渡る設計変更の結果長方形の底面になっています。

元々は1段だけの平たいマスタバが、拡張されていった結果として階段状のピラミッドに。その形状は後世に書かれた碑文から、王が天に昇るための文字通り階段を意味するとのこと。

これまでのマスタバは日干し煉瓦によって建造されていましたが、この階段ピラミッドは石によってできています。大きな石を使うことにより立体的で高さのある構造物の建設が可能になったですね。

全体が石造りの建物としては最初期のものであり、その建設方式や宗教的理念は後代のエジプト社会に大きな影響を与えました。

屈折ピラミッド

約4500年前ごろになると、スネフェル王はという人が「屈折ピラミッド」を作ります。上がとがっていて、だいぶ四角錐に近づいてきましたね!

これは建設途中に(地上から49m地点で)勾配を約54度から約43度に変更されていて、高さは約101m。

屈折ピラミッドの形状の理由としては「勾配が急過ぎて危険なため(崩壊の危険、玄室にかかる重量過多)角度を途中で変更した」「建造中に王が病気になったので、完成を急ぐため高さの目標を下げた。」「これが完成形であり、下エジプト・上エジプトの合一を象徴している。」などの説があるそうですよ。

これまた謎が多くて魅力的では!

真正ピラミッド

スネフェル王は、屈折ピラミッドの後に新しいピラミッドも建設しています。勾配約43度で、側面が二等辺三角形の「赤いピラミッド」を建造。これによって、いわゆるピラミッドの外形が完成。このきれいな四角錐のピラミッドは、「真正(しんせい)ピラミッド」と呼ばれます。


↑赤いピラミッド

スネフェル王が1人で複数のピラミッドを築いている点から導かれる王墓説否定論に対しては「屈折ピラミッドは一定の高さ以上にできなかったので挫折した妥協の産物でしかなく、最終的に43度のピラミッドが誕生した」という反論があるようですね。

ともかく、マスタバ→階段ピラミッド→屈折ピラミッド→真正ピラミッド、という流れで四角錐のピラミッドの形ができた。やっぱり、いきなり四角錐のものが作られたわけじゃなく平面からだんだん上に伸びていったんですね~。

完成したものだけを見ていると不思議でも、順番に流れを見ていくことで理解が深まるってのはピラミッド以外でもあることでしょう。

また、ピラミッドが上に伸びていき四角錐になっていったことについて、「ベンベン」という丘への信仰が関係していたと言われます。ベンベンとは、古代エジプトのヘリオポリス(現在のカイロ周辺の街)にある丘のことであり、エジプト神話における世界の始まりの場所。

こういった信仰は古代エジプトの最初期からあったとのこと。そして、ベンベンまたは太陽光線を模した四角錐の石造記念物があり、「ベンベン石」(Benben stone)と言います。ピラミッドは、このベンベン石をモチーフしていると考えられているのです。

ピラミッド建設の謎

建設方法の謎

ピラミッドの詳細な建設方法は今でもよく分かっていません。一般的には奴隷の強制労働で築いた王の墓とされてきましたが、どうも強制労働ではなかった様子。

1990年代に入ってからギザの大ピラミッド付近で建造に関わったとされる人々の住居跡や墓が見つかりました。

内容としては、建設に関わった道具や手術跡など高度な外科治療が施された人骨を発見。さらには、女性や子供達の骨も数多く見つかり家族で暮らしていたと考えられるように。

こうした事実からピラミッド建設に携わっていたのは、虐げられていた奴隷ではなく専属の労働者がいたことが明らかに!

また、ピラミッド建設に必要な高い建築技術は専門の技術者でなければ持っていない点・建設に関する労働者のチーム編成や作業記録が文字で残っている点から、専門的な知識を持った技術者がいたことは間違いないとされます。

また、住居跡も見つかっているので技術者は年間を通してピラミッド建設現場に居住していたことが分かりました。

ピラミッド建設に必要な石材は主にナイル上流のアスワン付近で切り出し搬送されたと考えられています。石には一定の規格寸法があったわけではなく、現場で必要な寸法に合わせて専門の職人が鑿で整形していたとのこと。

1番大きなギザのピラミッドでは200万個もの石が使われているらしいですよ!

しかし、肝心の「大きな石を正確に積み上げていった方法」については分かっていません。周囲に足場を作った・長い坂を作って運びあげた・内部に空洞を作って運んだ、などなど複数の説が出されていますが決定的な証拠は無い。

現在でも調査研究が続いて、この建築方法の謎もピラミッドの神秘的な魅力を生み出す1つの理由だと言えるでしょう。

このギザの大ピラミッドについて、1978年に日本の建築会社である大林組が「現代の技術を用いるなら、どのように建設するか」という研究企画を実行。結果としては、総工費1250億円・工期5年・最盛期の従業者人数3500人、とのこと!

現代のテクノロジーを使っても、再現が非常に難しいのですね

失われてしまった古代の建築技法

『ロストテクノロジー』 再現できない技術のロマンともったいなさ
技術ってのは積み重なりながら発展していくものですが、意外と途中で消えてしまう技術もある。今の伝統工芸なども継承されずに消えてしまうかも!?

建設目的の謎

さらに、このような大きな建造物を大量に作った目的もよく分かっていません。一般的には「王の墓」だと言われてきましたが、王家の墓が別に見つかることもあって否定的な意見も多いようです。

「日時計説」「穀物倉庫説」「宗教儀式神殿説」「天体観測施設説」といったアイディアもあるけれど、その後の研究や物証によって否定されているとのこと。

さらに、ドイツの考古学者であるメンデルスゾーンが提唱した「農民救済の公共事業説」、日本人の高津道昭のアイディアである「ナイル川の流れを整える土木工事説」などもあって色々な人が色々なことを考えている状況。

↓の表のように、ピラミッドは約800年という長い期間にわたって建設されたけれど、その目的が良く分かっていないのです。

ピラミッド/ファラオ統治期間場所
ジェセルc. 2630 – 2612 BCサッカラ
スネフェルc. 2612 – 2589 BCダハシュール
スネフェルc. 2612 – 2589 BCダハシュール
スネフェルc. 2612 – 2589 BCメイドゥーム
クフc. 2589 – 2566 BCギーザ
ジェドエフラーc. 2566 – 2558 BCアブ・ラワシュ
カフラーc. 2558 – 2532 BCギーザ
メンカウラーc. 2532 – 2504 BCギーザ
サフラーc. 2487 – 2477 BCアブ・シール
ネフェルイルカラーc. 2477 – 2467 BCアブ・シール
ニウセルラーc. 2416 – 2392 BCアブ・シール
アメンエムハト1世c. 1991 – 1962 BCリシュト
センウセレト1世c. 1971 – 1926 BCリシュト
センウセレト2世c. 1897 – 1878 BCエル・ラーフン
アメンエムハト3世c. 1860 – 1814 BCハワーラ

「王様が、奴隷を強制労働させて、自分の大きな墓を作らせた」というのが話としては一番分かりやすいんですけどね。どうも違うらしく不思議!

詳細な建設方法も、その目的も謎。この謎の多さもピラミッドの魅力でしょう! 他の古代建築と比べても形はシンプルなのに、多くの謎が残されている!

うわさ、オカルト

建設方法も目的も分からないとなれば、オカルトな意見が出てくるのも当然のことかも。ピラミッドにはオカルト関係の話も多くあります。

例えば「ピラミッドを作ったのは宇宙人また超古代文明だ! 古代エジプト人だけで、こんなものが作れたはずがない!」なんてことを言っている人たちも居るようですよ。

他にも、「秘密結社のフリーメイソンが作った!」なんて話もあるみたい。フリーメイソンのシンボルの1つである「プロビデンスの目」がピラミッドと関係あるんだとか。


↑確かに、似ているような気も?

謎が多いと想像力が刺激されますよね~(笑)

豆知識、小ネタ

最後に、豆知識。みなさん「金字塔」って言葉を知っていますか? 後世まで残る偉大な業績、みたいな意味。「この作品は、ライトノベルの金字塔だ!」的に使います

この金字塔ですが、実はピラミッドのこと! 「金字塔」というのはピラミッドの日本語訳! つまり、金字塔=ピラミッドみたいに後世まで残るもの、という意味。

いやー、みなさん知ってました? 私はこの記事を書くまで知りませんでした……ともかく、ピラミッドは古代建築の「金字塔」と言えますが、それは当たり前の話(笑)

もう1つ小ネタ。あのナポレオン・ボナパルトが、エジプト遠征の時にピラミッドの下で「兵士諸君! あの遺跡の頂から40世紀の歴史が諸君を見下ろしている」と言って配下の軍隊を鼓舞したという逸話が伝えられています。

さすがナポレオン、オシャレでかっこいいセリフ! こんな風に歴史に残る名言を私も作ってみたいものです(笑)

まとめ

・古代の巨大建築! シンプルな形! 大人気!

・作られたのは約4500年前

・とても高度な技術によって作られている

・最初期は平らだったのが、徐々に上に伸びて今の形になった

・完成したものだけを見ていると不思議でも、順番に流れを見ていくことで理解が深まったりする。

・詳しい建設方法は分かっていない

・建設目的も不明

・オカルト関係の話も多い

・謎が多いと、想像力が刺激されるよね!

 

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