『遠近法』の歴史と、絵画の発展

大昔の絵は平面的でした。遠近法は歴史の中で発明された、新技術だった! 絵の描き方も進化してきたんですよ。

という訳で、今回のテーマは「遠近法」。近くの物は大きく遠くの物は小さく見える・平行な線が「消失点」に収束する・近くのものと遠くのものは見え方が違う、など。英語で言うとperspective。

絵にリアリティを与え写実的に描く場合は必須の技術ですね。↓の図のようになります。赤い線が交差しているのが消失点。(画像は全て、ウィキペディアより)


↑一点透視図法

↑二点透視図法

↑三点透視図法

絵を描く人には分かりやすいと思いますが、遠近法をちゃんと意識してないと立体的な絵は描けないもの。逆に言えば遠近法を意識しなくていい絵は楽ですね(笑)

美術の分野だけでなく、漫画・アニメなどにも使われる身近な描き方。今では当たり前の技術であり絵を描くなら当然に意識することでしょう。しかし、昔は違いました

遠近法の歴史

このような絵を見たことがある方は多いはず。歴史の教科書とかにも載ってますよね。これは遠近法が「発明」される以前の芸術。遠近感はなく、まさに平面的に描かれています

大昔の絵ではそもそも遠近を意識していなかったり、遠近を物の大小だけで表現していたり。宗教画などは「偉いものを大きく描く」のが当たり前で、距離による大小なんて考えれていないことも多いですし。

目の前の物を平面のキャンパスの中に再現する、リアリティがある絵を描く、こういう事は大昔にはできなかった! 

遠近法が使われるようになったのは古代ギリシャ・ローマの時期だと言われています。さすがですね! しかし、中世に入ると混乱の中で技術が衰退。この期間の宗教画なんかは平面的

再発見されたのはルネサンス初期の13世紀以降。イタリアからヨーロッパに広がります。↓のような絵が描かれるように

ちゃんと遠近法が意識されてますね! その後、15世紀に入ると「数学的な基礎」の研究が進みます。感覚ではなく理論で説明されるように。

単純な大小だけでなく距離と角度によって物の見え方は変わってきますが、それを数学的に明らかにしようという話。なんとなくの遠近法なら割と簡単だけど、正確な遠近法を理解して使うのは大変なんですよねぇ。

あの天才、レオナルド・ダ・ヴィンチも遠近法について研究してたり。そして、今までの「線を使った遠近法」だけでなく「遠くのものは見え方が変わる」ことに注目した「空気遠近法」を開発しています

手前はくっきり奥は背景に近い色に見えるという表現ですね。特に「広い空間においては遠くのものは青く見える」ということが発見ました。自分の周りにある空気は透明なのに空は青く見えるのと同じ原理。これもルネサンスの時期に発明された技術。

実際に見えているようにリアリティのある風景を描けるようになったのは意外と最近の話だってことでしょうか。遠近法というのは昔の人の発明であり、研究によって成り立っているもの。そのおかげで絵画を中心とした芸術も発展してきました

ちなみに、20世紀に入ってくると「遠近法による写実的な表現に縛られない、もっと自由な絵もありでしょ!」ということで新しい芸術が生まれてきます。ピカソのキュビズムなどが有名ですね。

↑キュビズムによるピカソの自画像。遠近法・陰影法に縛られない。

芸術の発展と発明

芸術に関する他の例を出せば、油絵具が発明されて「油絵」というのが描かれるようになったのは15世紀のオランダから。それまでは今のような油絵は無かった。

また、19世紀に外で使えるチューブ入り絵具の発明が発明され屋外で絵を描くことが可能に。この技術があったからこそ印象派などが登場してきたわけで。印象派による絵画の変化にも新技術の発明が大きく影響していると言えます。

芸術・美術などは個人の才能や感性に注目されることが多いけれど、その背後には先人たちの発明と研究の積み重ねがあるんですねぇ

まとめ

・英語で言うとperspective。絵にリアリティと立体感を与え写実的に描くためには必須の技術

・大昔の絵ではそもそも遠近を意識していなかったり、遠近を物の大小だけで表現していることも

・遠近法が使われるようになったのは古代ギリシャ、ローマの時期だと言われている。

・中世になると1度忘れられるが、13世紀のルネサンスで再発見

・レオナルド・ダ・ヴィンチが「空気遠近法」を発明

・美術は個人の才能や感性に注目されることが多いけれど、その背後には先人たちの発明と研究の積み重ねがある

 

 

空気遠近法も開発した偉人!

https://souzouryoku.com/leonardo-da-vinci/

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