『パトロン』とは? ~芸術と芸術家を支えた人々~

作品を作り出してきたのは、芸術家だけの力ではありません。芸術を影から支えた人々、それがパトロンなのです!

という訳で、今回のテーマは「パトロン」。支援者・後援者など、主にお金を出す事によって活動を支援する人のこと。英語で書くとpatron。スポンサーという言葉にも近いですね

みなさん、このパトロンという単語を知っていましたか? 現代では少し存在感がなくなっていますが、近代までは芸術と芸術家にとって非常に重要なものでした

 

芸術とパトロン

芸術・絵画・美術・音楽などを作ってきたのは芸術家だけど、お金を出したり地位を保証したり作品の発表の場を用意したりして活動を支えたのがパトロンたち。

芸術家というと、なんとなく「孤高!」なイメージを持っている人もいるかもですが、芸術家が一人で可能なことはたかが知れています。サポートがないと活動が続きません

芸術活動には、時間とお金が必要。作品ができるまで何か月もかかったり材料費が必要だったり。

さらに作っても人々に認めれないと芸術作品としての意味は薄い。「作者以外誰も存在を知らない絵」なんてのは例え傑作であったとしても歴史には残りませんからねぇ

こういった問題を解決してくれるのがパトロンというわけ。中世では王・貴族・教皇などが、近世では資産家・資本家がパトロンに。もちろん、ヨーロッパだけでなく世界中でこういった関係がありました

芸術というと「反権力!」みたいに思っている人もいるかもしれませんが、芸術は権力者・お金持ちのサポートで作られてきた

例えば、あの有名なルネサンス。この時期にはメディチ家という大きなパトロンがいました。メディチ家はレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロなどの芸術家を支援していたという記録が残っています

ルネサンスの時期にはローマ教皇も強いパトロンとして芸術家を支援していました。このような有力なパトロンがいたからこそ、ルネサンス期に名作が多く生まれたわけで

また、権力者・資産家による支援は個人の芸術家に対するものだけでは無く、もう少しシステム的で組織的な場合もあります。

日本の「御用絵師(御用絵師)」は、こちらのパターン。これは江戸時代に江戸幕府や大名に仕えた絵師のこと。安定した制度として整備され、血縁による世襲・一般人より高い地位が認められました。城・お屋敷の内部の絵などを描くことが仕事になります。

雇い主から注文を受けて絵を描くのであり、職人のようなもの。今の言葉で言えば芸術家より「デザイナー」の方に近いでしょうか? まぁ、多少の違いはあるにせよ芸術は権力者・資産家と結びつき、その下で発展してきたってこと

支援の目的

次に視点を変えて、「芸術家を支援することによる、パトロンの利益とは何か?」これを考えてみましょう。パトロンは何のために芸術家を支援したのでしょうか

単純に芸術が好きだから! というだけではありません。彼らの政治的野心・社会的地位を強化するために、芸術家を支援することが多かったのです

どういうことかと言うと

「俺は芸術家を支援できるぐらい、お金を持ってるんだぞ!」

「芸術に理解がある私ってセンスいいでしょ? かっこいいでしょ?」

「私の城にはこんな芸術作品があるのだ。すごいだろ! お前らとは違うね!」

「平民・農民たちよ。芸術によって神の国をここに表現した! それを支援した私に感謝するように」

まぁ、ざっくり書けばこんな感じ。こういうパトロンたちの俗な考えによって、芸術が作られてきたとも言えます(もちろん、単純に芸術が好きだから、というパトロンもいたでしょうけどね)

また、パトロンから芸術家に細かい注文が入ることも多々ありました。こういうのが欲しいから作ってくれ、って感じ。お金を出しているわけなので、当然に口もだしてきます。芸術といえば「自由!」と思っている人もいるかもしれませんが(以下略)

ちなみに、芸術の分野だけでなく自然哲学・錬金術師・科学者などにもパトロンがつきました。理由は同じ。時間とお金、野心と地位。例えば、あのガリレオ・ガリレイがパトロンを探し回っていたなんて記録が残っているそう。

パトロン、という形式の理由

ところで、どうして「権力者・お金持ちによる支援」なんて行為・関係が世界中で発生したのでしょうか? まぁ、理由は単純でして「昔は、富と権力が集中していたから」

芸術・科学なんてものは、余裕のある人だけのものだった。今みたいに「芸術・科学は、全ての人に必要で社会全体で支えるべき」なんて考えはありません。

一般市民・農民なんかは、毎日の生活に必死でそんなことを気にしていられない。余裕がないのに芸術家・科学者の支援なんてできません。また、知識がないので芸術・科学の価値は分かりにくかったでしょう。

権力・お金・知識の全てが独占されていたわけで、芸術や科学の話に一般市民や農民が出てこないのも当たり前なのですね。

個人から大衆へ

そんな風に芸術・科学は一部の余裕のある人たちだけのものでしたが、近代になると一般市民・社会全体に理解が広がっていきます。

19世紀に入って資本主義が発達してくると個人のパトロンという形から、博物館・劇場・政府・民衆などのより公的社会的な支援に移っていきました。

なので、芸術家も「パトロンに認められる芸術」ではなく「広く社会に認められる芸術=売れる芸術」を作るように。

パトロンが要らなくなった代わりに、自分でお金を稼ぐ必要が出てきた。取引の相手が特定の個人から、不特定多数の一般市民に変化したと言えます。

まとめ

・主にお金を出す事によって活動を支援する人のこと。近代までは芸術と芸術家にとって非常に重要な存在だった

・芸術は権力者、お金持ちのサポートで作られてきた

・「芸術が好きだから」という理由よりも、パトロンの政治的野心、社会的地位を強化するために支援することが多かった。芸術以外の分野でも同じ。

・昔は富と権力が集中していて、芸術や科学は余裕のある人だけのものだった。

・19世紀に入って資本主義が発達してくると博物館、劇場、政府、民衆などのより公的社会的な支援に変化。

 

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