『パイプオルガン』 無駄とロマンの究極楽器!

いや~、すごい楽器ですよね(笑) 大きすぎて持ち運び不可能、もはや建物と一体化してます。音楽を演奏するために、こんな巨大装置を作っちゃうなんて人間は面白い。

というわけで、今回のテーマは「パイプオルガン」。加圧した空気を鍵盤で選択したパイプに送ることで発音する楽器であり、原理としては管楽器(つまり笛の仲間)。

構造的に1本のパイプでは1つの音しか出ません。パイプオルガンは多彩な音色を特徴としますが、その分だけ大量のパイプが必要。例えば日本のサントリーホールにあるものでは、なんとパイプは5898本! すごすぎる……

このような「建物と一体化した巨大楽器」って東洋にはありませんよね。ヨーロッパの石造りの教会建築を土台に生まれたロマン装置!

英語だとorgan。日本だと単に「オルガン」といった場合は小型で移動可能なものを指しますが、欧米では「organ」とだけ言った時はパイプオルガンを意味します。

日本語の一般的な「オルガン」を言う場合、日本とは逆にreed organ などと細かく言う必要が。また、演奏者のことは「オルガニスト」と呼んだりするそうですよ。

超かっこいい!

パイプオルガン、それは究極のロマンあふれる楽器でしょう。建物と融合している巨大さ、圧倒的な存在感! 豪華なものは装飾も非常に細かく美しい! 音色も建物の中で反響し、独特の魅力があります。

↓パイプオルガンの写真



いや~、超かっこいいですよね! 教会の中に設置されていることが多く、神聖な雰囲気と融合し見た目だけでも圧倒的な存在感! コンサートホールに設置されていることもありますよ。

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さらに、この楽器は演奏面でもロマンにあふれています。大量の鍵盤と「ストップ」と呼ばれる部品により、多彩な音色で演奏可能。

ストップで空気を送る(=音を鳴らす)パイプのグループを変えることで、色々な楽器の音を再現。その音の幅広さは1台だけでオーケストラに匹敵するとも!


↑パイプオルガンの演奏台! 左右にある白いでっぱりがストップ。

鍵盤の数も、ストップの数も、めちゃめちゃ多い(笑) すごい楽器ですよ。

かっこよくてロマンにあふれているので、現実世界の演奏だけでなくゲームのBGMなどにも良く使われています。

ファンタジー作品で教会に入ったらパイプオルガン風の曲が流れていたりしますよね~。また、魔王などのボスキャラがパイプオルガンを演奏してるって状況もあったり。見た目も音も、重厚でかっこいい!

超めんどう!

さて、そんな超かっこいいパイプオルガンだけど、同時に超めんどうな楽器でもあります。サイズがでかすぎて色々と大変。

パイプオルガンの正面に見えている部分は、ほんの一部。その後ろには、大量のパイプと空気を送るための設備が隠されています。

見えているパイプの後ろには、大小合わせて何千本ものパイプが……金属製だけなく木のパイプを使われます。これだけのパイプがあるからこそ多彩な音色が出せるわけですが。

パイプオルガンは管楽器であり、これだけの管に空気を送り込むためのシステムも必要。演奏者は空気を送るパイプを選んでいるだけで、風を生み出しているわけではありません。

じゃあ、どうなっているのかというと現代では別の部屋に風を作り出すためのモーターを使った送風機が設置されていることが多いよう。送風機の音が邪魔にならないようにクッションなどで覆って、部屋も防音仕様にするのが理想的。

何千本ものパイプに、専用の送風機を使って空気を送る。そうすることで初めてパイプオルガンを演奏することができる!

もちろん、ここまで巨大な楽器を工場で量産して運ぶなんて不可能。製作する場合は現地に調査に行き、建物に合わせて1台1台作ることに。

さらに調律(音の高さの調整)・メンテナスも非常に大変。大型のパイプオルガンの場合は、製作費が2億円以上・年間のメンテナスも100万円以上するとのこと。さすがに高い!。

さらにさらに! 演奏面でも色々と大変。他の楽器と違い、パイプオルガンには世界共通の規格がありませんでした。

作った会社によって差が大きく、そのため演奏者は現場での対応力が求められます! (最近では規格化も進められているようですが)

また、パイプオルガンは建物と共に古くから伝えられているもの。演奏可能な最古のものは1400年ごろに作られていて、ここまで古いと規格なんてあるわけもなし。パイプオルガンは個性がありすぎて演奏者の方が合わせていく必要があるんですね~、大変そう。

パイプオルガンの歴史

パイプオルガンおよびオルガン系の楽器の起源は古代ギリシャ。「オルガン」という名前も、ギリシャ語 “οργανον”(オルガノン)に由来します。

本来は道具・器官のことを意味し、演奏するための組織的道具を指しましたが楽器に関してもこの言葉が適用されるように。

オルガンの最初期の形は「水オルガン」というもの。水オルガンは青銅と木でできており、大理石でできた円筒状の土台の上に置かれます。

土台の中には貯水槽とピストンが備え付けてあり、圧縮空気を上部のパイプに送り出しました。紀元前264年に制作された記録が残っています。


↑水オルガンの再現

水を通すことで空気を一定の強さで送ることができ音が安定。直接パイプに空気を送り込むと、乱れが出やすい。しかし、ローマ帝国の衰退と共に水オルガンも衰退してしまいます。

紀元前1世紀のはじめには、水ではなくふいごを使うオルガンも登場。ふいごを伸縮させることで安定した空気の流れを作ることが可能であり、複数のふいごを使うことで風の量を増やせました。現代のオルガンの基本はふいご型ですね。


↑ふいご

中世の9世紀ごろにヨーロッパでオルガンの製作が再開されます。始めは別に宗教と強い結びつきはなかったようだけど、13世紀には教会用の楽器として地位を確立。

15世紀後半から16世紀のルネサンス時代には、ストップの多様な組み合わせによって音色の変化が効果的に使われるように。

17世紀~18世紀前半のバロック時代はオルガン文化の全盛期だとされます。特に北ドイツでは、プロテスタントが大オルガンを建造することを競い始めるようになり巨大化が加速されたとのこと。

現在の大型パイプオルガンのイメージは、この時期に固まったと言えるでしょう。世間にも広まった時期で、新興階級の部屋に置かれることもあったとのこと。

19世紀~20世紀初頭には、作曲家たちの間でオルガン・ソロのための交響曲を書くことが流行。この時期に作られてたものは「シンフォニック・オルガン」「ロマンティック・オルガン」と呼ばれます。

また、20世紀のドイツで起こった「オルガン運動」によって古い時代のオルガンが見直されるようになり、バロック時代のオルガンを模倣した「ネオバロック・オルガン」が数多く作られたとのこと。

しかし当時は過去のオルガンに関する研究が不十分であり、歴史的オルガンの修復にあたって多くの失敗もあったようです。

現在は古い時代のオルガン建造技術が尊重され、歴史的楽器の本来の音に近づけるために、より慎重な修復や複製が行われるようになっています。

ちなみに古いパイプをきれいにしすぎると、音の重厚感がなくなったりするんだとか(笑) それって重厚感というか、くぐもってるだけなんじゃ……少なくとも設計者の意図した音とは違うわけでしょ?

また、現代では教会だけでなくコンサートホールなどにも設置されるように。日本だと東京には結構な数があるみたいですよ~。

構造など

ここではパイプオルガンの構造を、もう少しだけ詳しく紹介。

まず、パイプオルガンは管楽器。(ちなみにピアノは打楽器なので構造が違います) 空気の流れで管を振動させることで音を鳴らします。長く太いパイプほど低い音が、細く短いパイプほど高い音。

パイプオルガンの鍵盤は、空気を流す管を決めるスイッチ。なので、鍵盤を叩く強弱などを変更することはできない! パイプオルガンの音ってのは基本的には安定的かつ固定されたもの。知ってました?

音量調節をする場合にはパイプを「スウェル」という箱に納め、可動式のシャッターで開け閉めするという方法を使います。

発生する音量は固定されているので、障害物を置いて聞こえる量を減らす! これまた、めんどうな方法でしょう(笑)

パイプの種類

パイプは大きく言って2種類あります。管自体に穴が開いている「フルー管」と、管の内部のリードと呼ばれる板がが振動する「リード管」。

↑左の2つがフルー管、右がリード管

キーアクション

鍵盤を操作することをキーアクションと言います。これは大きく分けて2種類。1つは機械式。この場合、鍵盤と内部構造が直接つながっています。

指の力で直接動かすため、微細なニュアンスの表現が可能。また、風圧によってキーを押した時に独特の抵抗感を持つ感触があり、これが演奏者と楽器の結び付きを強めるとも言われます。


↑パイプオルガンの内部は空気の流れを管理するための複雑な構造に。

もう1つは電気式、エレクトリック・アクションと呼ばれるもの。鍵盤と本体の間は電線で繋がれるので、演奏台の配置は完全に自由なるのが大きなメリット。ただし、鍵盤は完全にオンオフのスイッチにすぎません。

人間って面白い!

しかしまぁ、人間って面白いですよね~。こんな巨大な楽器を作っちゃうなんて。

何千本ものパイプ、専用の送風機、複雑な操作機構。これだけやって、できることと言えば音を鳴らすことだけ。音楽を演奏することしかできない。直接的に生活に役立つわけじゃないんですよ。

ある意味では、ものすごく無駄では(笑) これだけのものを作る資源と労力があるなら他にも色々できるはず。それでも巨大な楽器を作ってしまう……

人間の想像力、宗教と娯楽への情熱ってのはすごいものだと改めて思います。パイプオルガン、ロマンですよね~。

まとめ

・パイプオルガン、超かっこいいよね! 建物と一体化した巨大楽器!

・英語で単に「organ」と言うなら、それはパイプオルガンの意味

・構造的に1本のパイプでは1つの音しか出ない。多彩な音色には、その分だけ大量のパイプが必要。

・大きすぎて、製造もメンテナンスも超大変。

・起源は古代ギリシャの水オルガン。13世紀ごろに教会楽器となり、17世紀からのバロック時代に大型化。

・こんな巨大な楽器を作ってしまうなんて、人間の宗教と娯楽への情熱ってのはすごい!

 

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