メタファーとは何か? ~その意味と魅力と難しさ~

ちょっと理解しにくい表現技法でありますよね~。創作の中だけじゃなく、現実世界でも良く使われているのですが……

というわけで、今回のテーマは「メタファー」。日本語だと暗喩または隠喩。ある物事を他の物事で伝える「比喩表現」の一部であり、比喩表現であることを明確にしないことが特徴。英語だとmetaphor

逆に、比喩表現であることをはっきりさせる表現は「直喩・明喩」と言います。

守りは、鉄壁のように堅かった(直喩)
守りは、鉄壁だった(暗喩)

海が怒ったように荒れていた(直喩)
海が怒っていた(暗喩)

こんな感じでしょうか。

メタファーの例

メタファー・暗喩・隠喩の何が分かりにくいかって、メタファーであることを明確にしないってところ! まぁ、その代わりに幅広く豊かな表現が可能なんですが……最初に、少しメタファーの例を見ていきましょう。

 

「彼女は天使だ」

これは分かりやすい。「え、この少女は人間じゃなくて天使だったのか!?」なんて思う人はいないでしょう。あくまで比喩表現であり「天使のようだ」と言っているだけの話

 

「テスト期間はつらいが、明けない夜は無い。」

こういうのもメタファー。「夜が必ず朝になるように、つらいことにも必ず終わりがある」ということ。

 

「失恋した私の心には、いつまでも雨が降っている」

小説の中に出てきたりしますよね、こんな感じの文章。これは悲しみのメタファー。「心」という単語が使われているので、まだメタファーだと気付きやすいでしょうか。

 

「会社に向かうために家を出たら、空を黒い雲が覆っていた」

天気によるメタファーも定番。感情を表現したり、未来の結果を先に伝えておくわけ。映像作品でも使われる演出。晴れ=嬉しい・楽しい・良い結果、曇り=苦しい・悲しい・悪い結果、雨=涙などなど。でも、これも注意してないとスルーしちゃいますよね~。

 

「ふと気付くと、庭に大きな花が咲いていた」

これは恋のメタファーだと見ることもできます。花が咲く=恋心が生まれる、という感じ。特に恋愛関係の物語なら可能性大!

しかし、もしかしたらメタファーじゃないかもしれません。普通に花の話をしてる可能性も。ここら辺がメタファーの難しい所……

はっきりしないことによる魅力

↑に出した例のように、メタファーは多くの状況で使えるし様々なことを表現可能です。ルールなんて決まってませんし。作者がメタファーだと思い、消費者にも同意してもらえれば、それはメタファー。

上手いメタファー・センスのある暗喩は作品の魅力を高めてくれます。はっきりと「これは~だ!」と言われると、それで終わり。

しかし、メタファーだと意味がはっきりしません。その分、消費者の方が想像を膨らませることができる!

特に、詩・ポエムはメタファーの魅力にあふれたジャンルかも。短い文章で大きな世界を表現できるのはメタファーを上手く利用しているからだと言えるでしょう。

また、似たような概念として「寓喩(ぐうゆ)」というものもあります。これは物語全体がメタファーになっているもの。言い換えれば教訓・皮肉でしょうか?

学校の授業で「この物語で作者は何を伝えたいのか? みなさん考えてみましょう!」とかありましたよね(笑) ああいう奴です。

有名なのは「アリとキリギリス」でしょうか。これはストーリー全体が「遊んでばかりだとダメ! 真面目に働きなさい!」というメッセージを持っています。

こういうのが寓揄。単純に「働きなさい!」言われるよりは、センスがあって面白いと思いますね

逆に言えば、分かりにくい

しかし、メタファーも良い所ばっかりじゃありません。何といっても、分かりにくいですよ。

作者がメタファーだと思い、消費者にも同意してもらえれば、それはメタファー。だけど、作者がメタファーのつもりでも消費者には分からなかったりする。

作者の表現力が無いのか、読者の理解力が無いのか……どちらにしろメタファーだってことが伝わらないとメタファーとしては成立しない。

痛い人のポエムが意味不明だったりしますよね(笑) 本人的には深い意味を持つメタファーのつもりかもしれせんが、けっきょく相手に伝わらなきゃ意味が無い。

また、逆パターンもあります。それは「消費者が勝手にメタファーだと思い込む」こと。作者は普通の内容のつもりでも、読んだ方が勝手に深い意味を見つけてしまう(笑)

割と有名な最近の話として「男根のメタファー」があります。これは「響け! ユーフォニアム」という少女たちが吹奏楽をやる作品に対して、「美少女キャラが細長い楽器を口にくわえて演奏している! これは男根のメタファーだ!」的な意見が出てきたという騒動。

トランペットやユーフォニアムは男のアレを示している、と。


↑ユーフォニアム

↑トランペット。男根……? 言われれば、少しは似てなくもない気もしますが、これが男根のメタファーに見えるのは想像力が豊かすぎるでしょ(笑)

たぶん、製作者はそんなこと思ってません。しかし、人によっては楽器が男根のメタファーに見えてしまう。結局、あいまいなんですよね。そこが魅力であり欠点。

メタファーという言葉を使うと、かしこくなったような気がします(笑) だから使いたがる人も多いんですが、注意が必要。分かりやすい話を書きたいならメタファーなんて使わない方が良いでしょう。

古くからあるもの

メタファーというのは非常に古くからある表現技法。例えば、現存する最古の文学作品とも言われる「ギルガメッシュ叙事詩」の中にも多くのメタファーが使われています。4000年以上前の作品なので、そんな時期からメタファーは大活躍。

古代ギリシャの哲学者がメタファーについての意見を述べていますし、キリスト教の聖書や仏教の教えの中にも寓喩・メタファーが多く使われているとのこと。

メタファー認知

さてさて、ここまでは主に「文章・文学作品におけるメタファー」について書いてきました。しかし、最近ではメタファーは日常生活・現実世界にも深く関わっていることが分かっています。

その1つが「概念メタファー」。これは「人間は様々なものをメタファーによって理解し表現している」ということ。1980年代に登場したアイディアで、私たちの一般的な言葉にも概念メタファーが発見できると言います。

例えば、日本語の「青春」なんてのもそうでしょうね。この場合は「人生の若い時期」を「春」という言葉で表現しているわけで。直喩法で言えば「1年の始まりである春のように若い時期」ということ。

「人生はクソゲー」なんてのも概念メタファーでは(笑) これもゲームというものを利用して人生を表現している。

人間は「○○は××(のようだ)」という形で世界を見ている。メタファー・暗喩というアイディアは意外と身近だってこと。

現実世界でのメタファー

言葉だけなく、その他の情報においてもメタファーによる認知は行われているでしょう。例えば「いつもは明るい先輩が、今日は不機嫌そうにしている」とします。

そんな先輩を見たら、みなさん色々と考えますよね。「何か嫌なことがあったのかな?」「親とケンカしたのかな?」「失恋したのかな?」などなど……

よく考えてみると、これもメタファーだと言えます。つまり「いつもは優しい先輩が、今日は不機嫌そうにしている」は「先輩にとって嫌なことがあった」のメタファー。

直接に先輩が「嫌なことがあった!」と言ってきたわけじゃない。不機嫌そうな様子を見ただけ。しかし、そこから多くのことを想像しますよね。文章の中のメタファーと仕組みは同じだと思いません?

もう一つ例を出せば、「ある男子と女子が急に仲良くなった」は「二人が恋人になった」ことのメタファーかもしれません。現実世界でも、みんなメタファーを見つけて意味を考えてるってこと!

「メタファー・暗喩・隠喩」と聞くと文学的で難しいような気がします。しかし、実は普通にやってること。ヒントを得て、そこから想像を広げる。

文学の中のメタファーが古くからあるのも当たり前。だって、人間の基本的な考え方なんですから。

まとめ

・メタファーを日本語にすると、暗喩または隠喩。

・意味がはっきりしない。その分、消費者が想像を膨らませることができる!

・逆に見れば、分かりにくい。メタファーのつもりだけど伝わらなかったり、逆にそんなつもりじゃないのに深読みされたり

・現実世界の言葉にも深く関わっているとされる。〇〇は××(のようだ)=概念メタファー

・言葉だけなく、その他の情報においてもメタファー認知はある。ヒントから想像を膨らませる。

・文学の中のメタファーが古くからあるのも当たり前。なぜなら、人間の基本的な考え方だから。

 

こちらもオススメ

 

他にも言葉について色々と考えてみたり

だらしある、後ろ明るい、申し訳ございます ~言葉をひっくり返してみた~
くだらない、くだる? 逆のパターンがない言葉って、意外とある。