『仮面』について考えてみる ~他者になったり、自分を隠したり~

ミステリアスだったりホラーだったり、独特な雰囲気! 世界中に様々な仮面がありますし、現代日本のサブカル作品でも良く使われる人気アイテムでしょう。

↑現代ヨーロッパの仮装用マスク

↑アフリカの仮面

↑日本の仮面(この記事の画像は、全てウィキペディアより)

というわけで、今回のテーマは「仮面」。人間の顔を模した物であり、顔の上に付けることで自分ではない他者になることができるアイテム。英語だとmask

英語だと仮装用などや医療用なども同じ「mask」で表現されますが、日本だと実用目的なものは片仮名の「マスク」と呼ばれ仮面とは区別されてますね~。

また「覆面」って言葉も。こちらは仮面と違って固いものではなく布などが多い印象。仮面に比べると現実的なアイテムで、ロマンは減ってしまうような……

顔を隠すもの!

仮面の何が特徴的かというと、もちろん「顔を隠すためのもの」だってこと。

人間にとって顔は非常に大きな意味を持つものですよね。顔の表情によって相手の感情などを知ることができますし、人間の個性は顔に現れるもの。

そんな重要な顔を隠してしまうってのは、すごい話。

日本語にも「仮面をかぶる」なんて表現がありますよね。これは「本心を隠す」という意味であり、やはり仮面には感情を隠してしまう効果がある。

また、心理学者ユングが使った「ペルソナ」という言葉も。元々のペルソナは演劇用の仮面を意味する言葉であり、それをユングは「社会に求められた性格を演じてしまうこと」という意味で使いました。

このように仮面は感情や個性を隠し変えてしまうもの。個性を消すのは非常に謎めき神秘的であり、表情が全く動かず相手の思考が読めないのは恐怖を感じることでもある。

また、表情がまったく変わらないのは死体の顔にも近いかも。仮面がホラーと相性がいいのも考えてみれば納得。

仮面と言うのは世界中の文化に存在するので、顔を隠すことに対する関心は人類共通だと言えます。やはり人間にとって顔は重要であり、それを隠してしまう仮面も特別なものだってこと。

↓北アメリカの先住民族の仮面

現在でも、仮面は様々なジャンルで人気のアイテム。現実世界の芸術・仮装などにも使われていますし、推理小説や漫画・ゲームなどにも良く出てくる気が。

仮面をかぶったキャラクター、みなさんも1人ぐらいは思いつくのでは? 怪盗なんかもよく仮面付けてますよね~

仮面の役割としては、大きく分けて2つあると私は考えます。①他者になる②自分を隠す

①他者になる

仮面には魂・霊が宿るという考え方も古くから存在します。神・祖先の霊・動物などなど……それらになりきるのも仮面の役割。

状況としては宗教的な儀式や民族的な行事などでしょうか。アフリカの部族には、それぞれ特有の儀式用仮面があったりするそう。

↓アフリカの仮面

また、演劇などでは「役」になりきる時に仮面が使われたりしますよね。日本の能面はこのタイプ。中世ヨーロッパにも仮面劇の文化があったとのこと。

↓姥(老女)の能面

↓有名な般若

仮面をかぶると、他人から見えるのは自分自身の顔ではなく仮面に描かれているものに変わります。人格を上書きするという感じ?

この場合は、自分の顔を隠すというより「仮面そのもの」に強い意味あるわけで。

②自分を隠す

こちらは他のものになることよりも、自分自身の正体が分からなくなることの方に重心を置いた使用法。

この場合は、仮面に描かれているもの自体はそこまで意味がありません。顔が隠れている・周りには自分が誰なのか分からない、ってとこが重要。(覆面も、こっちですね)

有名なのはヨーロッパの仮面舞踏会でしょうか? 仮面舞踏会は参加者が仮面を付け、身分素性を隠して行われる舞踏会。

英語ではマスカレイド(masquerade)。仮面舞踏会! 超かっこいい! 小説や音楽などの題材としても良く使われてます。

仮面舞踏会は中世に起源がありますが、15世紀になってヴェネツィアから広がった形式が有名です。

上流階級の人々のための仮装と仮面による凝った舞踏会。このヴェネツィア式が17世紀から18世紀にかけてヨーロッパ全土で流行。お互いの正体を当て合う遊びなどもあったとのこと

仮面の下は、美形……?

さてさて、今までのような文化的な風習・民族的な伝統として仮面を付ける場合は仮面の下の素顔はあまり特別な意味を持たないでしょう。みんな仮面を付けてるわけで。

これに対して、個人的な理由で仮面を付ける場合は素顔に対して大きな注目が集まります。そこには素顔を見せたくない理由があるはず!

現実世界で仮面をかぶって活動するのは大変なので、主にフィクションの話ですけどね(笑) 仮面キャラの素顔は美形でかっこいい! というのが定番。

これについて有名な話として、「るろうに剣心」作者・和月伸宏氏のコメントがあります。以下に引用しますと

『いざ外印の素顔を晒したら読者の方々から大ブーイング喰らいました。どうやら「仮面の下は美形」という甘い幻想を抱く読者が多いようで、これについて

「仮面の下が美形だったら顔を隠す必要なんてないじゃないかコンチクショー!」と和月は思ってしまうのですが、

じゃあシワシワの老人なんか出して一体誰が喜ぶんだと、描いた後になって考えてみると読みが甘かったと反省するばかりです。』

るろうに剣心24巻 作者コメントより

う~ん、和月さん読者の両方とも納得できる意見では(笑) 謎の仮面キャラ「外印」の素顔は、みにくい老人だった! これに読者からブーイングが!

現実的に考えたら、和月さんの言う通りわざわざ隠すのには見せたくない理由があるはず。美形だったら顔を隠す必要なんて無くない? しかし、フィクション的には作者の自己満足は受けない……中々難しいところ。

まとめ

・人間にとって顔というのは重要。それを隠してしまう仮面にも特別な雰囲気が!

・仮面は世界中の文化に存在する

・「他者になる」「自分を隠す」という2つの側面があるのでは

・フィクションの仮面キャラの素顔は美形が多いよね

・でも、現実的に考えれば見せたくない理由があるってことじゃ……創作におけるリアリティは難しいもの(笑)

 

 

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