ジャポニズムとは? ~日本文化の流行と、その巨大な影響~

ただの日本ブーム、じゃない! 今では当たり前になっている現代的なデザインは、ここから生まれたのです!

というわけで、今回のテーマは「ジャポニズム」。19世紀中ごろからヨーロッパで始まった、日本趣味・日本文化の流行を指す言葉。英語だとJaponism

もうちょっと詳しく言うと、影響を与えたのは主に日本の美術品や工芸品で、影響を受けたのもヨーロッパの絵画と美術が中心。

「ジャポニズムとか言っても日本側が勝手にそう呼んでるだけじゃ……?」なんて思う人もいるかも知れませんが、1876年のフランス語の辞書にjaponismeって言葉が登場しており広く認められています! 別に日本の自画自賛ではないのですよ~(笑)

ちなみに、フランス語ではジャポニ「ス」ム、英語ではジャポニ「ズ」ム。この記事では英語のジャポニズムで行きますが、中心地はフランスだったので専門用語としてはジャポニスムの方が正確なようです

表現における日本と西洋の違い

大きなきっかけになったのは国際博覧会での日本美術の展示。1862年のロンドン万国博覧会・1867年のパリ万国博覧会などなどなど。この時期には大きな博覧会があり日本もそれに参加したわけですね

特に注目された日本美術品としては浮世絵・陶磁器。1854年前後に日本の開国が始まってますから、それと同時期だと言えます。日本は開国によって西洋文化の強い影響を受けましたが、ヨーロッパも多少の影響を受けていたってこと

なぜ、日本の美術がヨーロッパに影響を与えたか? それは西洋にはない、独自の魅力があったから!

ジャポニズム以前の西洋絵画の特徴を、超ざっくり書くと↓みたいな感じ
・遠近法による奥行き
・陰影を使った立体的描写
・物の輪郭を目立せない
・背景までしっかり書き込む
・安定した構図が多い

実物を見ると、こんな雰囲気(この記事の画像は全て、ウィキペディアより)

これに対して、日本の絵画の特徴はこんな感じ
・遠近法にこだわらず平面的
・陰影が無い
・物の輪郭線をはっきり描く
・背景は何も描かないこともよくある
・大胆な構図も多い

なんとなく、雰囲気の違いは分かってもらえるのでは。当たり前と言えばそうだけど、色々と違うんですよね。だから、ヨーロッパの人は日本美術に驚き、それを真似したり技術や考え方を取り入れたりした

このような日本文化に影響を受けた芸術家は、作品の中にそれを表現していきます

↑和風(?)の服装の女性。当時は、まだまだ詳しく正確な日本の情報は伝わっていませんでした。

ジャポニズムの巨大な影響

上のような絵だけを見ると、ジャポニズム=単純な日本趣味、だと思いますよね? 和風な物を描くのがジャポニズムなんだろうと。

そうではないんです! 表面的な日本趣味で終わらない所に、ジャポニズムの影響の大きさがある

例えば、↓のポスターをみてください

書いてある人物や内容は、西洋のものですよね。しかし表現的にはちょっと日本風だと思いません? さらに↓の2枚の絵を見比べてみてください

こうやって日本の絵と西洋の絵を比べてみると、↑のポスターは明らかにそれまでの西洋絵画と違い、日本の要素が入ってますよね

背景が描かれていない・陰影が無い(現実ならあるはずの部分に影が無い)・分かりやすい輪郭線・画面をテーブルで大きく斜めに区切る大胆な構図、など

今見ると普通のポスターだけど、こういう描き方はそれまでのヨーロッパにはなかった! つまり、単純に日本の物を描く・真似するだけでなく、その技術や考え方が西洋文化に深く取り入れられた。

つまり、あえて言うならば「東洋の物を西洋の技法で描く」よりも「西洋のものを東洋の技法で描く」の方がジャポニズムの意味に近い。もちろん実際には東西の技術と考え方が融合していますが。

そして、今となっては当たり前のデザインもジャポニズムが出発点。

例えば、アルフォンス・ミュシャのポスターなども描かれているものは西洋的だけど、その画風はジャポニズムがあったからこそだと言えるでしょう。

合わせて読みたい

20世紀になるとジャポニズムという言葉は使われなくなりますが、それは「当たり前になったから」。今の日本で、Tシャツ・ジーンズに対して「西洋趣味」なんて言わないのと同じ感じ? 流行が終わったのでなく完全に吸収一体化。

ジャポニズムは絵画の分野だけでなくアールヌーヴォーの造形、ルイ・ヴィトンのデザインなど広い範囲に影響を与えました。けっこう日本文化の方も西洋を変化させたんですね。

 

まとめ

・「ジャポニズム」とは、19世紀中ごろからヨーロッパで始まった日本文化の流行を指す言葉。大きなきっかけになったのは国際博覧会での日本美術の展示。

・西洋絵画の特徴は、遠近法による奥行き、物の輪郭を目立せない、背景までしっかり書き込む、安定した構図が多いなど

・これに対して日本の絵画の特徴は、遠近法にこだわらず平面的、物の輪郭線をはっきり描く、背景は何も描かないこともよくある、大胆な構図も多い

・表面的な日本趣味では終わらなかった。技術や考え方が西洋文化に上手く吸収され一体化。今となっては当たり前のデザインも、ジャポニズムが出発点。

 

 

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