大砲の歴史と分類など ~破壊と爆発のロマン!~

大砲、かっこいい兵器ですよね! 現代の戦争では脇役になってしまったけど……そこがまた魅力的なのかも?

(この記事の画像は、全てウィキペディアより)

というわけで、今回のテーマは「大砲」。火薬を使って大型の弾丸(砲弾)を飛ばして攻撃する兵器。火砲(かほう)、砲とも。英語だとcannon

一般的には「銃よりも威力(殺傷力や破壊力)の大きく個人では扱えない大きな火器」であり、銃よりも口径(弾丸の直径)が大きい物のことを言います。ただし、この銃と砲との境界となる口径のサイズは軍や時代によって色々と違ったり。

また、数える際の単位は挺ではなく門(もん)! 大砲の弾を砲弾といい、大砲を専門に扱う兵を砲兵、特に発射する人を砲手と言います。

砲弾が発射された瞬間から弾着する瞬間までにたどる経路の事が「弾道」であり、「弾道学」という専門分野もあるそう! さらに、世界最初のコンピュータのひとつであるENIACは火砲の弾道計算の目的で製作されたとのこと。

大砲は、その破壊力・発射時の轟音・無骨な見た目から男のロマン兵器としてフィクションでも人気ありますよね!

この記事では大砲の分類や歴史をざっくりと紹介していきますよ~。

 

大砲の分類

一口の大砲と言っても、実は色々な分類があるのです!

用途などによる分類

カノン砲 (cannon)
榴弾砲 (howitzer)
攻城砲 (siege gun)
野砲 (field howitzer)
山砲 (mountain gun)
臼砲 (mortar)
迫撃砲 (mortar)
無反動砲 (recoilless rifle)
歩兵砲 (infantry gun)
対戦車砲 (anti tank gun)
ロケット砲 (rocket launcher)
対空砲 (anti aircraft gun)
高射砲
機関砲 (Autocannon)
航空機関砲
戦車砲 (tank gun)
列車砲 (Railway gun)
要塞砲
海岸砲
速射砲
原子砲


↑シンプルで原始的な発射装置、臼砲

射程と弾道による分類

砲弾の飛び方にも違いがあるんですよ~

①、短距離直接射撃。対戦車砲および戦車砲などが当てはまり、徹甲弾などによって目標の装甲を貫徹することが主目的であり射角は水平。

②、対空砲火。対空砲 ・高射砲であり航空機を狙います

③、短距離間接射撃。臼砲 および迫撃砲 であり、曲弾弾道であり最後は垂直に近い角度で着弾。原始的ですがシンプルかつ小型の装置で発射可能なのが利点。

④⑤、砲弾を高初速で発射するタイプ。このような弾道は、擲射弾道と呼ばれるそう。歴史的にはカノン砲などが⑤であり榴弾砲などは少し射程が短い④でした。しかし、現代では榴弾砲の射程も伸びているので④⑤の区別はされないようです。

構造による分類

ライフル砲……砲身の内側の螺旋条により、砲弾の飛翔時に回転を加えることによって、弾道の安定を図る方式。現在はこれが主流。

滑腔砲……砲身の内側が滑らかになっている砲、初速が高いのが特徴。古い大砲は全てこれ。

ゲルリッヒ砲……砲尾から砲口にかけて口径が小さくなってゆく砲。口径漸減砲とも

多薬室砲(その形状からムカデ砲とも呼ばれる)……複数の薬室を設け段階的に加速する事で射程の延長などを目指した砲。変態的ですね(笑)

↓通常の砲身(☆が爆発)

↓多薬室砲。変態! 変態変態!

砲弾の種類

ついでに砲弾の種類も。命中したときに爆発して破壊をもたらす化学エネルギー弾と、発射時に得た砲弾自身の運動エネルギー(質量、速度)により破壊する運動エネルギー弾の大きく2つに分けられます。

歴史的には、初めはすべて運動エネルギー弾でした。重いものを高速でぶつけて破壊する、単純ですね。同じ砲弾でも発射速度および飛距離により威力が大きく左右されることに。

これに対し、近世に入ってからは爆発したりする化学エネルギー弾が登場します。技術の発達により砲弾の中に色々なものを詰め込めるようになったわけですよ。

・化学エネルギー弾
榴弾(HE)
粘着榴弾(HESH)
対戦車榴弾/成形炸薬弾(HEAT)
多目的対戦車榴弾(HEAT-MP)

・運動エネルギー弾
徹甲弾(AP)
徹甲榴弾(APHE)
被帽徹甲榴弾(APCHE)
仮帽付徹甲弾(APBC)
仮帽付被帽徹甲榴弾(APCBCHE)
剛性核徹甲弾(APCR)
徹甲焼夷弾(API)
高速徹甲弾(HVAP)
装弾筒付徹甲弾(APDS)
装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)

・その他
焼夷弾(Incendiary)
曳光弾(Tracer)
核砲弾
照明弾(Illumination)
発煙弾(Smoke)
信号弾 – 彩光弾などがある。
榴霰弾(Shrapnel)
キャニスター弾(Canister)
複合弾(HEIAP)
フレシェット弾(flechette)

色々とありますねぇ。効率的な破壊のために、砲弾も進化多様化してきました。


↑戦艦砲の弾! でかい砲弾ってのも、ロマンですよね~。

大砲の歴史

それぞれの時代に行く前に、↓の図を見てみましょう。(字が小さくて、すみません……)。大砲は中世に生まれ、様々な種類に分化しながら現代まで使われているのです!

大砲以前

機械的な力によって弾丸を放出する兵器は古代から存在していました。代表的なのはカタパルト・トレビシュット・バリスタなど。攻城兵器・城を防衛するための兵器として大型の装置は古くから使われてたんですね。

↓順番にカタパルト・トレビシュット・バリスタ


中世、大砲の誕生と戦争の変化

火薬を発明したのは中国、そして大砲を発明したのも中国だとされます1259年に南宋で開発された「実火槍」と呼ばれる木製火砲が最も早い時期の物とのこと。他のアジアの国にも広がり、14世紀のオスマン帝国が攻城用の重砲と野戦用の小口径火砲を使っています。

ヨーロッパで現存する最古の大砲的な物の記録図は、14世紀(1326年)。球形の弾ではなく、矢のようなものを打ち出す構造のよう。ただし、これは実際に作られたかどうかも不明。

いわゆる大砲がヨーロッパで作られるようになったのは15世紀初頭。この時代の大砲は射石砲またはボンバード砲と呼ばれ、石の砲丸を発射するもの。

15世紀の半ばには東方から新しい大砲技術が伝来。高い破壊力を持った重砲の発達によって、それまで鉄壁だった城砦を短時間のうちに陥落させることが可能になり、防衛側と攻撃側の力関係の変化を生じさせていきます。城の壁は、高さよりも厚さを優先するように!


↑この時期の大砲は、非常に大きく重く、発射するのは石。また、長期間の城攻め作戦に用いられる攻城兵器のため、運んでいくのではなく戦場で作られることもあったとのこと。

15世紀後半には、石の弾丸に替わる鉄製の弾丸・燃焼速度の速い粒状の火薬などの新テクノロジー発達。小型で軽量ながら少数の馬で運搬可能な強力な大砲も登場し、現代的な大砲の土台は15世紀末までにはほぼ完成していたとされます。

大砲は、海の上での戦いにも非常に大きな変化を与えました。大昔の船同士の戦いというのは「船に金属の角を付けて敵船に体当たりし、そこから飛び移って人間が直接戦う」というスタイルが基本。

それが「お互い大砲で撃ち合う」戦い方に変化。海賊映画とかで良く見る、あの感じですよ(笑) 大砲の性能差が海戦の勝ち負けに大きく影響するようになります。


↑こういう大砲を並べた船を「戦列艦」と言います。かっこいい!

近世 野戦砲の発達により、戦争の主役に!

この時期になると、大砲は野戦(平野での歩兵同士の戦い)にも使われるように。今までの大砲は主に城を攻撃するための物だったんですよね。

砲身の軽量化などが行われ、榴弾(爆発する砲弾)・ぶどう弾といったやわらかい目標(=人体・馬)に有効な砲弾なども登場。近世までの砲弾は爆発しないので注意! 爆発する砲弾は、後から工夫と試行錯誤によって生み出された新兵器。

絶対王政による富と権力の集中によって大量生産されるようにもなり、大砲が戦争の主役になった時代!

<h3id=”f”>近代 さらなる改良

近代になると産業革命が起こり、大砲の技術もさらに発展。この時期には性能を上げる3つの重要な改良が行われました。

駐退機の登場。駐退機というのは、発射した反動を砲身だけ後退させることによって吸収する装置。これ以前は発射のたびに大砲全体が反動で後ろに下がり、狙いを付けなおす必要がありました。駐退機の登場によって発射しても狙いがずれず、結果的に連射が可能になります。


↑砲身の下にあるのが駐退機。

ライフリングの発明。ライフリングというのは砲身の中にある、らせん状の溝。この溝によって砲弾が回転しながら発射され、遠心力によって弾道が安定します。

後装式の実用化。今までの大砲というのは前から火薬と玉を順番に入れる「前装式」でした。(火縄銃をイメージするといいかも?)これに比べて、後装式だと火薬と玉を同時に入れることが可能のため発射準備がかなり短縮されます。

2度の世界大戦 大暴れと、限界

近代に入ってさらなる改良がほどこされた大砲は、第一次世界大戦~第二次世界大戦の間に戦争の主役として大暴れします。

大量の野砲が作られ、戦場は砲弾の嵐に。戦艦は大艦巨砲主義、巨大な船に巨大な砲を載せるというロマンの時代。

さらに、城塞と大砲が融合した「要塞・要塞砲」が誕生。また、移動型装甲砲台とも言える「戦車」も発明されます。

航空機の実用化とともに、それを迎撃するための「対空砲・高射砲」も登場……技術の進歩・乗り物の発展と共に、大砲も色々な場面で大暴れ。


↑戦艦の主砲

この時期には超遠距離射撃用の、超大型砲も生まれています。有名なのがドイツの列車砲でしょう。もはや馬・自動車では運べない大きさの巨大砲を、専用の列車に搭載し専用のレールを敷いて移動させる……ロマンと狂気の産物ですよ(笑)

第二次世界大戦にドイツが作った80cm列車砲は史上最大の大砲と言われています!


↑直径80cm砲弾。でか過ぎる!

しかし、この列車砲は効率性が低すぎました。第二次大戦直後にドイツ国防軍の列車砲を調査した連合軍の評価は「技術的には驚異的だが、戦術的には失敗策だ」というもの。

「列車砲に注がれた資金、資材、技術者、兵員を爆撃機の開発に回していれば大きな脅威になったが、列車砲に回されたおかげで連合軍には有利に働いた」とボロクソに言われています(笑)

まぁ、基本的には宣伝効果が目的だったそうだけど、ドイツは大砲のロマンに呑まれたんですかねぇ。作りたくなる気持ちは分かりますよ、動くロマンのかたまりですもんね(笑) 超かっこいい!

さらに、第二次大戦は大砲の衰退を示すものでもありました。爆撃機は大型砲よりも効率よく敵拠点を破壊し、巨大な戦艦よりも空母と航空機が重要となり、簡単に発射できるロケット弾も実用化。

ある意味、大砲が真の主役だったのは第一次世界大戦までかも。

現代 脇役ながら、活躍中

現代では、もはや大砲は戦争の主役ではありません。爆撃機・高性能ミサイル、そして究極的には核兵器の有無によって戦争の勝敗が決まります。戦車すらも脇役になり、対空攻撃もミサイルに変わりました。大砲の性能・大きさによって勝ち負けが決まる時代は過去のもの。

しかし! 大砲が完全に消えてしまったわけではない。遠距離攻撃の主役はミサイルになってしまいましたが、大砲には「1発当たりの値段が安い。短時間で大きな火力を出せる」というメリットが残されているからです!


↑迫撃砲は、歩兵でも持ち運び可能で高い火力を出せる。

大砲って、ロマン!

大砲って、男のロマンですよね。剣・槍・弓の時代を終わらせた大砲(と銃)、しかし大砲もミサイルと爆撃機によって主役からは引退することに。

城と大砲は近世まで敵同士であり、近代になると融合して要塞となります。しかし、両方とも高性能ミサイルに負けてしまうんですよね……この栄枯盛衰も大砲の魅力でしょう。

そのロマンとかっこよさから、フィクションでも高い人気を誇ります。STG・FPS・RTSといった戦闘系のゲームでは良く出てきますし、SFやロボットものなどリアリティ的には大砲が使われてないような時代設定の作品でも巨大砲が登場することは珍しくありません。

思うに、あの「反動」が魅力なんんですよ! ズドンと撃った時の、あの反動がいい! ミサイルやロケットだと発射時の反動が無いですからね~

やっぱり、大砲はロマン(笑) 戦争の主役ではなくなったとしても、そのロマンと魅力は消えません!

まとめ

・用途、弾道、構造など色々な種類の大砲がある

・砲弾も多様化して進化してきた

・大砲の誕生は13世紀の中国だと考えられている

・元々は攻城兵器。15世紀ごろから性能が上がり、ヨーロッパの戦場に大きな変化を与えた。城壁は高さよりも厚さを重視するように

・二度の世界大戦では、巨大砲が作られると共に様々な乗り物とも合体し大暴れ!

・しかし、爆撃機やロケット弾も発明されて大砲もだんだん時代遅れに……

・現代では安価な脇役として活躍中

・発射した時の反動がいいよね! 大砲は、今でも男のロマン!

 

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