アニミズムと自然崇拝 ~全てものに霊魂が宿る、という考え方~

ファンタジー作品に出てくる~の精霊、~化身って感じでしょうか? そう思えば意外と身近なアイディアかも!

というわけで、今回のテーマは「アニミズム」。原始的・初期的な信仰形態であり、生物だけでなく無機物や現象にも霊魂や神様がいるという考え方ですね。英語で書くとanimism

この呼び方は、19世紀に人類学の分野で作られました。由来としてはラテン語の「アニマ」という言葉で、これは霊魂・生命といった意味。

アミニズムの考え方

日本語では「汎霊説」「地霊信仰」「精霊信仰」などと訳されます。生きものだけでなく、石・土・山といった無機物や嵐・雨・火などの現象にまで、神様や精霊が宿っているという考え方

石には石の精霊がいる
火には火の精霊がいる

嵐は、嵐の神様が作っている
地震は、地面の神様が怒ったからだ

まぁ、ざっくり言えばこういう感じ。何かしらの霊的存在が物体や現象を支配している・作り出している。こういう考え方になります。

日本では「八百万の神々」が分かりやすいでしょうか。どんなものにも神様がいる。そういう感覚でしょう。日本では、今でもなじみのある考え方。神道および神社もアニミズムに分類さます。

信仰・宗教としては原始的なものであり、世界各地に同じような信仰が。まぁ、「自然ってすごいなぁ」「嵐・雷、こういったものはどうやってできるのか? だれが作っているいるんだろう?」こういうことは、人間ならだれでも少しぐらいは思うことでしょう。

(この記事の画像は全て、ウィキペディアより)

う~ん、自然ってすごい! こういうのを見て神・精霊を想像するってのは理解しやすいのでは。

今となっては科学によって様々な自然現象を説明することができるようになりましたが、昔は本当に不思議だったでしょうからねぇ。人間を含めた普通の生き物とは違う、何か特別なものが存在すると思うのも当然の話。

また、原始的・単純な信仰形態のなので近代まで一神教からは、とても野蛮だと思われていました。ペイガニズム(Paganism)という言葉もあり、これはアニミズムや多神教をばかにした言い方。

「アニミズムを信じているなんて、なんて野蛮で原始的で非文明的な民族なんだ!」一神教の人はこう思っていた。現代でも、そう思ってる人がいないわけでもないですが……

自然崇拝との違い

さて、ここで「自然崇拝」との違いを少しだけ。自然崇拝とアニミズムは正確には違います。アニミズムの特徴として物体・現象そのものではなく、その背後にある霊的存在・精霊・神様を信仰します

例えば「嵐はすごい! 嵐を信仰しよう!」これが自然崇拝。これに対して「嵐は、嵐の神様が作っているんだ! 嵐の神様を信仰しよう!」こっちがアニミズム。本当にすごいのは、背後にある霊的存在だ! こういう考え方でしょうか?

歴史的には自然崇拝が先にあり、そこからアニミズムへと変化。さらに時代が進むと神話・宗教へと発展していくことに。

ついでに、もう一歩踏み込んで考えると魂・神・精霊ってのも面白い概念では。別に見えるわけじゃない(笑) 五感で認識したものではなく、想像力によって生み出されたものと言える。

人間以外の生き物にアニミズム的発想は無いと思います。普通の生き物は直接に感じられる情報を判断しているだけでしょう。

強い想像力があるからこそ、こういう発想が生まれてくる。世界中にアニミズムがあることは自然への信仰心と共に、物質を超えた「魂」という発想も人類共通だってことですね。

「自然」について

ちなみに、この「自然崇拝」という言葉にも注意点が。正確に言えば「自然」への崇拝ではないんですよね。

まず、「自然」という言葉は「人間」「人工的」こういう言葉に対応します。人間と自然、なんて表現がありますよね。

つまり、人工的という考えが出てこないと自然って言葉も出てこない! 人間と自然が完全に一体化していて分離していない時、そういう状況では「自然」という発想は出てきません。そんな概念自体がない

なので、この「自然崇拝」という言葉は「自分たちの暮らす世界そのものへの崇拝」ってな意味になるでしょう。

「自然」という概念・言葉ができる以前の、自然と人間が一体化していた時の原始的な信仰形態。とは言っても、これは細かい事を言った場合なので、基本的には自然崇拝=自然への崇拝、これでいいんですけどね!

さらに考えてみると、そもそも「自然」なんて概念がある生物も人間だけでは。例えばチンバンジーが「チンパンジーと自然」なんて考えるでしょうか? オオカミが「オオカミと自然」なんて考えるのか? そんなわけはない(笑)

人間だけが「人間と自然」なんて変なことを思う。人間も自然の一部なのに、別々に考えてしまう。面白いものですね。人間も人工物も、自然の一部にすぎないなのに。

だって人間は自然の中で進化してきた生物の一種類にすぎないんだから。蜂の巣と高層マンションに本質的な違いなんてありませんよ。

創作の中のアミニズム

ここからはフィクション・サブカルの話。直接「アニミズム」という言葉が出てくる作品は多くありませんが、主にファンタジーでアニミズム的アイディアは利用されています

火の精霊・風の精霊……こういうのは、まさにアニミズム的! ファンタジー作品では~の精霊・~の化身といった形でアニミズム的な存在は良く登場しているのです。

精霊からパワーを借りる・人間以上に強力な精霊が存在する・神様を怒らせたから災害が起きた、こういった設定はよくありますよね!

もちろん西洋ファンタジーだけでなく、日本を舞台にした作品なら八百万の神々・付喪神、こういった形でアニミズムは登場します

また、自然破壊をテーマにした作品でも、人間とは違った存在として精霊・自然の化身というのは良く出てきます。こういうのもアニミズム的存在と言えるでしょう。スタジオジブリの「もののけ姫」なんて、もろにアニミズムな世界観。

アニミズムだの人類学だの、そういう言葉を見ると難しく感じてしまいますが、意外と身近なアイディアなのです!

まとめ

・「アニミズム」という名前は19世紀に人類学の分野で作られた。日本語では「汎霊説」「地霊信仰」「精霊信仰」などと訳される

・生物だけでなく無機物や現象にも霊魂や神様がいるという考え方。世界各地にある。

・昔の人にとって、世界・自然現象は本当に不思議だったはず。何か特別なものが存在すると思うのも当然の話。

・「物体の中には、目には見えないけど魂がある。物体そのものより魂の方が重要だ。」このような発想も人類共通。

・創作の分野だと、ファンタジーなどでアニミズム的アイディアは利用されている。火の精霊とか。

 

 

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